建築のチカラ

 美術作品は、美術館やギャラリーに展示されることによってその価値を与えられます。もちろん屋外に置かれた彫刻など、例外はありますが...。
 お茶会などで実際に使われいた頃は道具であった茶碗が、その芸術的価値を評価されて美術館に展示されると芸術作品になる、というとわかりやすいかもしれません。博物館の収蔵品などにも同じことが言えるかもしれません。

 つまり、建築は単なるハコであるにもかかわらず、その中に入るモノの価値を変化させたり限定したりする機能を、図らずももっているのです。
 この機能はモノに対してだけでなく、人に対しても発揮されます。住宅は人を容れるためのハコですが、その住宅のありようによって、中に住む人は変化していきます。
 
 例えば、帰ってきた子供が家族の集まる居間を通らずに子供部屋へ入れるような間取りの家では、子供が非行に走るケースが多いことがわかっています。また、狭くても父親の専用スペース(1坪書斎など)を確保している家では、父親の威厳が保たれやすいようです。
 逆に、家族の住まい方によって家が変化していくこともあります。家族の形は子供の成長などによって常に変化しますから、これは極自然なことなのかもしれ ません。家具によって簡単に間仕切ってみたりとか、もともとあったドアを取り外したりするだけで、空間は大きく変化します。

 住宅は、常に変化を続ける家族を容れるハコですから、変化に対応しやすいのが良い住宅の条件だと思っています。
 しっかりとした骨格を作り、周辺環境をよく吟味した上で適切な場所に開口部を設け、水廻りなど余り変化しない部分にかかわる導線を整理し、後は必要最低限の間仕切だけ作って終わり。
 これだと、普通の家よりも安く出来上がります。当座の資金がない場合にも最適です。収入に応じて内部を作り足していくのも楽しいかもしれません。
 そして何よりも、こういう家は高く売れます。年をとって夫婦二人きりになり、家が広くて困ったら、売り払って、環境の良いこじんまりとした家に住み替えてもいいのです。

[Misc.]


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