スキップしてメイン コンテンツに移動

エイジング

 最近女性達のあいだでは「アンチエイジング」という言葉がもてはやされているようです。

 「エイジング」とは「加齢」を意味しますので、「アンチエイジング」は「加齢を抑え込む」という意味になります。加齢とともに衰える肌のはりや、増えるくすみやたるみを抑えていかに若々しく保つか、というのがテーマのようです。

 女性のそういった心理はよく理解できるのですが、人間が自然に逆らえないのと同じように、自然な「老い」にもやはり逆らうことはできません。多少遅らせることができるだけです。
 これを「より好ましく老いる」ためにはどうしたらよいか、と考えることで、とてもポジティブに転換できます。
 世の中にはとても素敵に歳を重ねている人たちがたくさんいます。そういう人たちはまず、精神がとても若々しくてポジティブです。そして美容や健康については普通の人たちよりも無頓着だったりします。
 昔どこかで読んだ話しですが、体に悪いとされることは一切しないように努めるグループと、酒であろうがタバコであろうが、好きなことは一切制限しないで過ごすグループを作って、それぞれを長い期間リサーチした結果、後者のほうが長生きしたそうです。このリサーチをした人は予想していなかった結果に驚いてしまい長い間発表できなかったそうです。
 「笑う門には福来る」といいますが、重要なのは心の持ちようということです。

 私が携わる建築の世界でも「メンテナンスフリー」を合言葉に「アンチエイジング」な材料が持てはやされています。老朽化したり汚れたりしにくい材料という意味なのですが、このために世の中に無機質で無味乾燥な印象の建物があふれてきました。ハウスメーカーの建てる住宅がその筆頭です。
 安くて良いものを求めるのはいいのですが、誰かの何かと一緒であれば安心する中流意識や極端にメンテナンスを嫌う意識が、この無味乾燥路線に勢いをつけています。
 
 家を建てるということは一世一代の大きな買い物であり、愛する家族の毎日のねぐらを作ることです。そして出来上がった家は愛着を持てるものであって欲しいものです。そのためには、ただ与えられたものを受け入れるのではなく、建主自身が家のことをもっと勉強し、材料や間取りにこだわるなど、じっくりと時間をかけて設計するべきです。大事なのは竣工して引渡しを受けた時点で完成ではなくて、住まいながら育てていくという感覚です。メンテナンスフリーもいいですが、メンテナンスや模様替えに積極的にかかわっていくことで家に対する愛着も湧きます。建設当初にかかる費用も抑えることもできます。
 愛着を持って家に接するためには、古くなって味わいの増す材料を使うことが重要です。ビニールクロス張りの壁やユニットバスは薄汚れてくるだけで味わいは増しません。ペンキ塗りの壁は何度も塗り重ねることで、木の床や手摺は手垢がついたり磨き上げたりすることで愛着が深くなり味わいを増していきます。これが「エイジング」です。

 そして愛情を持って育て上げられ、うまく「エイジング」した家は、古くなってもちゃんと売れます。不動産価値が上がったりもします。

 そんな家がたくさん建っている社会になるといいなぁと思います。

[Misc.]
 

コメント

このブログの人気の投稿

「仕事」と「生業(なりわい)」

生業(なりわい)とはそもそも本来、お金を稼ぐための仕事のことを指していて、仕事とは、それ以外のお金にならない仕事のことなのだそうです。現在では両方を仕事と呼んでいるので説明がややこしくなりますが、そういうことらしいです。
農家の方々が農作物を販売する行為は生業で、土を耕したりする行為は仕事ということになるそうです。でもこれだとちょっとわかりにくいかもしれません。商売など、生計を立てるための行為を生業と呼び、地域のお祭のお手伝いをしたり、そういったことの取りまとめを請われて引き受けたりといったことを仕事と呼ぶ、といったほうが分かりやすいかもしれません。仕事には、政治的な役割も含まれてくるような気もします。

明治初期くらいまでの日本では、男は仕事と生業の両方をきちんとやって、やっと一人前と認められるような風潮があったそうで、明治以降の人たちが生業一辺倒になってきているのを見て、それ以前の男達がなかなか一人前だと認めなかった、ということもあったようです。

それが今では、生業ということばは形骸化してしまって、生業と仕事を分けて考えることは無くなってしまいました。いまの大部分の男達にあるのは生業と趣味くらいかもしれません。かつては仕事として行われていた政治的な役割も、今ではそれを生業としている政治家も多くなってきているように見えます。

これらの考え方は、つい最近どこかで読んで知ったことなのですが、これが引っかかったのは、僕が独立して自分で仕事を始めていたからかもしれないなぁと思いました。勤めていたころは、その勤め先の中での福利厚生行事の手伝いなどの「仕事」的な行為もありましたが、務めている以上それらはすべて生業ということになると思います。
それが、独立して以来、仕事と生業は完全に分かれてみえてくるようになりました。独立と同じタイミングで小学校のPTAの仕事も引き受けることになって、そのPTA活動がけっこう活発だったこともあり、生業以外の活動のボリュームが増えたことも原因としてあるかもしれません。

そして最近、この仕事と生業の両立が、精神衛生上とても良いということに気づきました。生業は、いくら没頭してやっていても、どこかに閉塞感や無力感のようなものがつきまといます。家族を養うためのお金を稼ぐためだと割りきってやることも少なくないと思います。生業の中にやりがいを見つけることもあ…

いま使ってる1920×1080の壁紙いろいろ

SugerSync のアルバムを使って公開します。SugarSync - handa のアルバム - 1920*1080リンク先のサムネールをクリックすると大きな画像で見ることができます。そこで気に入ったものを1枚ずつダウンロードすることができます。またリンク先の右側のサイドバーからアルバム内の画像すべてを一度にダンロードすることができます。
ところで、SugerSync は DropBox とよく似たオンラインストレージサービスで、詳しくは以前にここに書いたこの記事をどうぞ。
DropBox × SugerSync上の記事の一番下に貼ったリンクから SugerSync または DropBox へ飛んでこのサービスを利用し始めてくださると、僕のところに容量アップのボーナスが届きます。実はもう僕のアカウントはどちらも無料プランなのですが、すでに DropBox は4.75GBまで、SugerSync は31.25GBまで増量されています。僕の貼ったリンクから登録してくださったみなさんに、この場でお礼を申し上げます。ありがとうございました。
いま現在、仕事のファイルはすべて SugerSync でバックアップをとっています。まだ始めたばかりでファイルが少ないので、これだけの容量があれば心配ありません。もうしばらくたって、バックアップするボリュームが増えてきたらなにか考えなければならないかもしれません。もしかするとどちらかを有料プランに移行するかもしれません。

設計事務所を開業して、もうすぐ半年がたつ

開業前のもくろみとしては、3月までいた職場からの仕事がそれなりにもらえるだろうというものでした。逆に言えば、開業前にそれ以外に仕事をもらえるあてはありませんでした。しかし蓋を開けてみたら、ほとんど仕事はきませんでした。でもそれが逆に良かったのかもしれません。否が応にも仕事を探して動くことになりました。

4月は仕事をもらえそうなところに片っぱしから電話をかけたり訪ねて行ったりしました。そして運良く、そのうちの何人かの方から仕事をいただくことができました。
それらの仕事を僕なりにきっちりとこなして納めていくことで、次々と仕事がつながっていって今に至っています。最初の頃は図面の外注などの単価の安い仕事ばかりだったのですが、最近では構造計算や確認申請などのように、1件でまとまったお金をいただける仕事も増えてきています。これをしっかりと続けていけば、そのうちに新築の仕事につながっていくんだろうかと淡い期待をいだいています。

勤めていたころにはほとんど感じることのなかった「きっちり仕事をすることが次の仕事につながっていく」ということを、ほぼ確信に近い感覚でいだいています。実はけっこう初めてのことも多くて、試行錯誤したり失敗することも多いですが、そこは熱意と誠実さでカバーして、なんとか仕事を納めてきました。それは続けて仕事をいただいていることが証明していると思います。

もうひとつ痛切に感じていることが、個人事業主はただ生活をしていくだけでやたらとお金がかかる、ということです。会社員だった頃と比べると、年金や社会保険料がめっちゃ高いです。きっと税金もいっぱい持っていかれるんだろうなぁ。もちろんボーナスもありませんので、毎月これまでの手取りの倍は稼がないと同じ生活レベルは保てない感じです。開業して半年が経って、ようやくその目処が立ちつつあるという状況です。

逆に考えると、これまでは自分で感じていた以上に会社によって守られていたということです。金銭的に言えば主に毎月の安定した収入と社会保険料の肩代わりです。会社によって養われていたんだなぁと改めて実感しています。このさき順調にいけば、法人化して従業員を雇うということになるかもしれないのですが、そのときはその人を家族のように養っていく覚悟が必要だということになります。

こういう感覚って、だんだんと薄れていってしまうもののような気がします…