プロフェッショナルな感覚

Letter from Yochomachi のNHK 生活ほっと:「心を入れて演技すると、逆に伝わらない」(イッセー尾形)を読んで。

バーテンダーだって、始めて間もない頃には心を込めて「いらっしゃいませ。」を言っていただろうと思います。でもその頃は初々しさとともに落ち着きのなさや偽物っぽさを漂わせているのでしょう。年季が入って、心を入れずに「いらっしゃいませ。」を言うようになった頃、落ち着きと居心地の良さとともにプロとしての本物感を漂わせるのかもしれません。

私が建築設計の仕事を始めた頃(その頃はまだ CAD ではなくて手描きでした)、1本の線がなかなか引けませんでした。プロとしての知識も技量もない私が描いたこの図面をもとに、建築の予算が決められたり、さまざまな職人さんが手を動かしたりすることになることを考えると、もっとよく調べて確信を持ってからでないと怖くて線が引けなかったのです。
1本の線の裏側にあるさまざまなことは変わらないのですが、それなりの経験を積んだ今では、ある程度の確信と、あとでなんとか修正できるというちょっとしたズルさとともに、リラックスして線を引くことができます。この感覚を身につけることによって、図面の中に迷いのない勢いの良さが現れ、施主に対する説得力となるのです。
たぶん医者が患者の体にメスを入れたりする時などにも、似たような感覚がないとできないのだろうと思います。あまり度を超すと慢心として非難されることになるので気をつけなければなりませんが。


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