「天国のような状態」

数年前から大尊敬している建築家 五十嵐淳氏が、昨年末に建築雑誌に発表した「天国のような状態」という文章がずっと頭から離れない。

いや、正確に言うと文章というよりもそのタイトルだ。文章自体は斜め読みした程度だから。だって、そのときはそんなにすごい文章だとは思わなかったから。

しかし、あとからじわじわと効いてきた。

氏の言う「天国のような状態」とは、光、温度、湿度、気流、香りなど、感覚が受け取る情報において全てが完璧な状態のことだそうだ。

近作で試みられているのは、(いや、実はもうずいぶん前から無意識にここを目指していたような気もするが)主に光環境の天国化だ。

つまり、外部から室内に入る光をすべて間接光化し、室内全体が柔らかい一様なひかりで満たされた状態にする。 ごく簡単にいうと「ぼんやり」した感じだ。

間接光にする手段としては、屋内に巨大なひかり溜まりを作り、そこに向けて大きな開口を設ける方法と、2メートルほどの間隔をあけて設けられた巨大な開口部にオーガンジーのカーテンをかけて光環境を多層化して拡散光化する方法が試されていて、どちらも文句なく気持ち良さそうな空間に仕上がっている。

「天国」
なんて強烈なキーワードだろう。
しばらくは頭から離れそうにない。


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