Townhouse : ELDINGOSCARSON.COM


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上の写真のスウェーデンの住宅を一目見てから、なぜだかずっと心に引っかかってはなれませんでした。それがなぜなのかずっと考えていて、昨日あたりにやっと、こういうことじゃないか、というのがわかったような気がするので、ちょっと書いてみようと思います。

写真を見ての通り、やたらとそっけない建物です。正面から見ると、1階はポーチの部分が切り欠かれていて、2階と3階に正方形の開口部があるだけの長方形です。
3階の開口にはエキスパンドメタルという工業的で安価な材料が張られています。その中はルーフバルコニーになっていて、屋根が抜けて空が見えています。2階の開口は、最近良くある「ガラスだけが嵌っているような印象にして開口を純化する」みたいなことはされていなくて、ただ普通にアルミのサッシュが嵌められています。開口の大きさや位置も、なんだかどことなくそっけない感じ。

子どもが画用紙に書いた四角い家の絵みたい、とでも言えばいいでしょうか。
しかしそんな何の変哲もない感じのこの家が、ちょっと古めかしくて可愛らしい雰囲気の漂う町並みに挿入されているからなのか分かりませんが、僕にとってはとても鮮烈な印象を残したのです。

インテリアも変わらずそっけない感じです。ふたつの吹抜のある、とても単純な構成です。断面も、単純に横に3等分した感じ。1階の床は、ただ土地なりに奥へ向かってすこしずつ上がっていっています。中庭を挟んで平屋のスタディスペースがあります。
階段は、横から見ると稲妻型になっていたり、手すりがやたらと緊張感があったりとかしなくて、段の部分は単純に斜めにかけた鉄板でできていて、手すりは丸いパイプでできていてエキスパンドメタルが張られています。

壁や階段や天井は白く塗られています。でも真っ白で緊張感のある感じではなくて、住人が持ち込んだ家具やクッションや絵などが適度にカラフルで、とても気楽に生活を楽しんでいる感じが漂っています。2階と3階の道路側と中庭側に面した大きな窓は、造り付けの家具で奥行を作り、窓辺に腰掛られるニッチになっていて、とても居心地が良さそうです。そして全体が、文句なく心地の良い空間に仕上がっています。

この家が、なぜこんなに心地よさそうなのか、その理由が良くわかりませんでした。それが最近、ふたつの文章を読んでわかったような気がしています。

ひとつはナガオカケンメイさんのブログで読んだこの文章。

そしてもうひとつは、たしか日経アーキテクチャに載っていた、青木淳さんが既存ビルをギャラリーに改装するときの照明計画の話。

どちらも、デザインすることによって居心地が悪くなってしまうことについて書かれています。「ほらほら見てみて、カッコいいでしょ。」的にデザインされた空間が、とても居心地の悪いものであることは結構みんな気づいているはずです。

青木淳さんは何の変哲もない普通の照明器具を使って「とても注意深く、デザインした形跡が残らないようにデザインした。」みたいなことを言っていました。しかしそれでも「ちゃんと印象に残る空間になるように設計した。」みたいなことも言っていました。
そっけない印象になるように、ものすごい労力をかけて現場で照明器具の位置を調整したそうです。

きっとこのスウェーデンの住宅の設計者も、同じようなことを考えて設計したんじゃないだろうか。


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