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8月, 2011の投稿を表示しています

最期の言葉

「最期」とは、「最後」と読み方は同じでも違うことばです。「最後」にはいろいろありますが、「最期」は人生の「最後」の瞬間のこと。
偉人たちの「最期の言葉」を集めたサイトがありました。なかなか興味深かったので、思いついたことを書いてみます。最期の言葉最期の言葉No,2あの人の最後の言葉ほとんどが自分の死期をさとり、最期を看とってくれる人にたいして自分の最後の言葉として語っているものです。まだ死にたくないと、あからさまにジタバタしているものや、もうそれはやりつくして諦めたのか、死んだあとの自分の処遇に対する望みを語っているものが多いように思います。いずれにしても、自分がまもなく死ぬことがわかっているために、激しく、あるいはそこはかとなく、死に対する恐怖や苦しみがにじみ出ているように思います。そんな「死期をさとってる」系の中で僕的にピンときたのがカールライスさんのこれ。なるほど、これが死というものか。ところで……。カールライスさんがどんな偉人なのかわからないところがアレですが、なかなか味わい深い「最期の言葉」だと思います。ちゃんと「かーるらいす」と入力しているのにもかかわらず、僕が愛用している「Google 日本語入力」によって勝手に「カールルイス」と変換されてしまう可哀想なカールライスさんですが、かなりユニークなことばで死を察知したことを伝えながら、それでもまだ別な話を続けようとしたところでプツリと亡くなっています。死を悟りながらも、まだまだ生きる気満々です。そばにいた人が「あっ。えっ、あれっ? 死んでる?」ってなりそうです。
僕がピンとくる「最期の言葉」はそういうものが多いことに気づきました。どうも僕はそういう死を迎えることを望んでいるようです。
事故とかで突然死んじゃうのは絶対イヤで、病気で長いあいだ寝たきりになって死ぬのもイヤ。理想としては、80歳くらいで、ちょっと風邪をこじらせて、家の布団で寝ていて、たまたま世話をしにきた家族の誰かと軽い会話をかわしながら、いつの間にか死にたいです。かなり高い理想であることは承知してます。これを実現するための第一の条件は「自分の死を察知してない」ということです。偉人たちのことばの中にも「察知しない」系がいくつかあります。一番ピンときたのが、画家ピカソのこれ。なにか飲み物をくれ。ほぼ僕の理想に近いと思われます。まだまだ生きる気満…

「おおもり」のこと

このまえ家族でそば屋へ行ったときのこと。

それぞれ注文した品がテーブルに届いて食べ始めたころ、娘がトイレへ行きたいというので連れて行った。席へもどる途中、注文取りの女性が厨房へ向かって「おおもりふたつでーす」と声をかけているのが聞こえた。様子からして、僕らのあとに入ってきて隣の席に座った男性二人組の注文らしい。しかし「おおもり」ってなんだろう? 「大盛り」か「普通盛り」かだけで注文が通ってしまうメニューがあるんだろうか? なんてことを考えながら続きを食べていると、ほどなくしてその二人組のところに注文の品が届いた。それをみて、なるほど「もりそば」の「大」で「大もり」ことだったのか、と気づいた。

しかしこの二人組、本当に二人組なんだろうか? その二人が座るのは小上がりの端っこの席で、スペースの都合で長い方の辺が壁にぴったりくっつけられている。僕ら家族4人が座っているのと同じ大きさの座卓だけれど、その配置のおかげで2人か3人までしか座れない。そのテーブルに彼らふたりは、長い辺の左端にひとり、小上がりの上り口側にむいた右側の短い辺にひとりと、二人組としてはちょっと奇妙な距離感をとって座っている。そして注文の品が届くまでのあいだ、僕が見た限りではひとことも会話を交わしていない。お互いに視線を合わせるのが気まずいかのように別々な方向を見ながら手持ち無沙汰にしていた。この二人が入ってきたときの様子はよく見ていなかったし、注文を伝えるときは席を離れていたためにまったく見ていなくてよくわからないけれど、この二人はもしかすると、たまたま相席しただけの別々の客なのかもしれない。

二人組なのか別々の一人組なのかは別として、いずれにしてもこの二人はなんだか落ち着かなくてさえない感じだった。それが、注文した「大もり」が届いた途端に豹変した。とはいえ、座卓の長い辺の左端に座った人は、僕に背中を向けて座っていたために様子がわからないので、右側に座った人に限ってのことだけれど。

その人はまず、ざるの上に高く盛られた「大もり」のそばをひとすじ箸でつまみ、つゆにつけずにそのままズウゥっと吸い込んだ。口の中のそばをかなり速いリズムで噛みながら、日焼けした無表情な顔に一瞬、満足気な表情が浮かんだように見えた。そばをそんなふうに食べる人を初めてみたので、僕の視線はその人に釘付けになってしまった。次にその人は…