ポゼッションとは

ただいまロンドンオリンピックが絶賛開催中でありまして、サッカー日本代表が男女ともに快進撃を続けています。今朝未明に女子代表がフランスに勝って決勝に進出しました。
しかし女子代表については、このオリンピック代表とほぼ同じメンバーがワールドカップで優勝しているわけですし、その後も親善試合などでは王者らしく王者としての試合をしてきており、世界の女子サッカーが日本女子のサッカーをお手本としスタンダードにしようという動きも出てきているくらいなのですから、もうそろそろ、まだ番狂わせの感もあったワールドカップの頃に念仏のように唱えられていた「最期まであきらめない力」や「フェアプレイ」などの、泥臭く格下が上を狙いに行くようなフレーズを多用するのはヤメにしてはどうかと思います。もちろんそれらの大切さは十分に理解したうえでの話です。そしてそういう認識があれば、予選最終戦での引き分け狙いの試合運びを問題視する動きは出てこないはずなのです。

そんなことを考えながら試合中継をテレビ観戦しているわけですが、解説の人やアナウンサーが発する言葉で、上で書いたことよりも引っかかることばが「ポゼッション」です。ポゼッションとは「支配率」のことで、サッカーでは「ボール支配率」のことをいい、全体の時間のうち、そのチームの選手がボールを保持していた時間の割合を示します。試合の途中や最後にポゼッションの数値を紹介しつつ試合分析をするのがお決まりになりつつあります。
しかしこのポゼッションという言葉がまだまだ聞きなれない言葉であることから、アナウンサーなどが「ポゼッション(ボール支配率)」(アナウンサーは、かっこは発音せずに一呼吸おくだけですが)(←ややこしくなってる)などと並列して言ってみたり、ていねいな人は「ポゼッション、えーこれは各チームのボール支配率のことを示しますがー」などと言ったりします。アナウンサーの人は短い時間の中でたくさんの情報を伝える必要があるわけですから、ポゼッションなんてややこしい言葉を使って、さらにその言葉の解説までしながらしゃべらなくても、はじめからボール支配率と言えばいいと思うのです。
さらに解説の人の中には「ポゼッション率」などと言う人もいます。これは「ボール支配率率」と言っていることになって完全におかしいですね。だーかーらー、もーボール支配率でいーですっって。

「ポゼッション」でググってみると、トップに来たのがウィキペディアの「ポゼッションフットボール」のページでした。おやおや?と思って開いてみるとこう書いてありました。

ポゼッションフットボール(Possession Football)とはサッカーの戦術のひとつである。
自チームがボールを持っている限り、相手に得点を奪われる可能性は無いという考え方が元になっており、チーム全体でパスを回して、自チームが常にボールをキープすることで試合の主導権を握ろうという戦術である。
攻撃が行き詰ったときは無理に攻撃してボールを奪われるよりは守備的ミッドフィールダーやディフェンスラインまでボールを戻して、再びディフェンスラインからのビルドアップ(攻撃の組み立て)を行う場合が多い。そういう場面で作られた時間を生かし、各選手がスペースを作りチャンスを生み出そうとする。
よって、ミッドフィールダーのパス能力はもとよりディフェンダーにもパスやビルドアップの能力が求められ、チーム全体のポジショニング・オフザボール・オンザボールの動きの質が求められる。高いテクニックを持つ選手を多く抱え、組織的なプレーを得意とするチームに向いた戦術である。
高いレベルにおいては試合の主導権を握り積極的に仕掛けていく戦術となるが、低いレベルでこれを行なった場合にはボールを奪われないようにしているだけの消極的な戦術となることもある。総じて低いレベルのチームでは使いづらい戦術となる。

なんと、戦術のことでした。つまり、高いレベルで戦術としてボール支配率を上げるのでなければ、ただ単に支配率が高いだけではまったく意味がないのです。そういうことになってくると、この数字はポゼッションサッカーを目指しているチームにとってのみ必要な数字ということになります。試合を見ていれば、どちらのチームがボールを支配していて優勢なのかは一目瞭然ですし、試合を見なかったひとがその試合がどのような試合だったのかを知るのに役立つのかと思いきや、ボール支配の質がとても重要なのでそうではありません。

こう考えていくと、試合中継観戦中の視聴者に対して、わざわざポゼッションを示すことの意味がないことがわかってきました。やれやれ。

Posted at 時刻: 8月 07, 2012 on 2012/08/07 | 0 コメント | Filed under: